形成外科 皮膚外科
脂漏性角化症、老人性疣贅、年寄りいぼ(イボ)
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう、しろうせいかっかしょう)は老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)とも言われています。
皮膚良性の腫瘍の1つです。一般には「年寄りいぼ(イボ)」とも言われ、文字のとおり、年を取るとでできます。
皮膚の老化現象のひとつですが、若い人にもできることがあります。
症状
症状
顔、頭や全身どこにでもできます。いぼのようにざらざらしたできものです。初めは1,2ミリ位ですが、放っておくと少しずつ大きくなります。
特に、日光の当たる顔には、数多くできてきます。老人性のシミも一緒にできることが多いようです。
色は、普通の皮膚の色~淡褐色~黒色まで色々です。
形も平らなものから、隆起するものまでいろいろです。
かゆみを伴うこともあります。
年々、少しずつ大きくなります。数も増えてきます。小さいうちに取ってしまえば、問題ありませんので、早めの処置をお勧めします。
多発している人は、大きなものから、少しづづ除去しましょう。
出来やすい人は、これを機会に年1度はチェックすることをお勧めします。
耳前部~頬の脂漏性角化症
頬の脂漏性角化症
いろいろのタイプがあります。
上眼瞼の脂漏性角化症
若い人でもできます。
高齢になると注意が必要です
顔にはいろんなものができてきますので、注意が必要です。
長寿社会になっていますので、小さいうちに早めに処置されることをお勧めします。
特に幼少から青春時代に太陽のもとで、紫外線をよく浴びた人は光老化が早くから始まりますので、ケアを怠らないようにしましょう。
治療法
治療法は
数ミリまでのものは、髙周波の電気焼灼で簡単に治療できます。
冷凍療法、レーザー治療もありますがあまりお勧めしません。
それより大きくなると、手術が必要になります。
飲み薬、塗り薬では治りません。テレビの宣伝やネット等の広告に惑わされないように!
気をつけなければならないことは?
脂漏性角化症と思っていても、皮膚ガンであることがあります。
特に前癌状態である、日光角化症(老人性角化症)とは区別しづらいこともあります。
その場合には病理検査をお勧めします。皮膚の一部もしくは、全部取って組織検査に出します。
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・癌が心配の場合は電気焼灼、冷凍療法やレーザー照射で治療する場合は組織検査は出来ませんので、
切除して、組織の検査をしてもらいましょう。 - ・当院では、少し疑わしい場合は、「組織検査しておきましょう。」とお勧めしています。
切除例
額の脂漏性角化症
浅く切除して、組織検査して、自然に治るのを待ちます。2週間以内に治ります。
頬の脂漏性角化症
1週間で殆ど治ってきています。
耳たぶの脂漏性角化症
耳たぶのような縫合できないところでも、簡単に切除できます。ちょっといびつな形をしていましたので、組織検査しました。
顔面の多発脂漏性角化症
右顔面に多発した脂漏性角化症です。
できる限り除去しました。
病理組織
病理組織
いろんなタイプがあります。
脂漏性角化症の組織像は多種多様です。図は皮膚科学(金芳堂)を改変しました。
表皮の腫瘍なので、真皮の上層で切除すれば良いということです。
治療例 手術症例
髙周波電気焼灼
1つ10分程度の時間ですみます。キズは約2週間以内に治ります。
治療後は自分で処置されていました。2ヶ月後の再診時の状態です。
切除縫合
切除+縫合
切除、縫合の場合のキズ跡は6ヶ月から1年で、きれいに落ち着いてきます。
切除植皮
切除+植皮
少し大きかったので、皮膚移植しました。移植した皮膚は6ヶ月から1年で、きれいに落ち着いてきます。
液体窒素(ちっそ)による凍結療法
液体窒素(ちっそ)による凍結療法
液体窒素を病変部にあてて、一時的に凍らせて、2,3週間後にかさぶたにして、脱落させる方法です。
イボ(尋常性疣贅)などの治療には保険適応があります。
「他の治療法と違って麻酔を必要とせず、簡便にできます。」と説明して、施行しているクリニックがありますが、麻酔よりも痛い、1回では治らない。炎症後の色素沈着を起こしやすい、等の欠点があります。
・当院では、「どうしても」と言う患者さん以外は、行っていません。
レーザー治療
レーザー光線で焼灼する方法で、髙周波焼灼と同じですが保険適応がありません。
当院では施行していません。
癌化の報告
2011.11にも脂漏性角化症(老人性疣贅)からの癌になったという報告があります。
糸状疣贅(しじょうゆうぜい)、 スキンタッグ(skin tag)
状疣贅(しじょうゆうぜい)、スキンタッグ(skin tag)、アクロコルドン、首のいぼ(イボ)
首周り(頚部)、胸、 腋の下などの皮膚の柔らかいところにできる、1~2mmの小さな皮膚のでっぱりです。
色は肌色から黒褐色で多発する人もいます。老化現象の一つですが、若い人にもできることがあります。
治療法は
根元が細いものはハサミで簡単に切除できます。
根元が広いものは局所麻酔をして高周波メスで切除します。
液体窒素による冷凍凝固もありますが、不確実なのでお勧めしません。
少しづつ大きくなったり、数が増えてきますので、早めの処置をお勧めします。
診察、治療は予約制ですのでご注意下さい。
新型コロナ対策のため、県外の方はご遠慮下さい。
2020.7.13
液体窒素(ちっそ)による凍結療法
液体窒素を病変部にあてて、一時的に凍らせて、2,3週間後にかさぶたにして、脱落させる方法です。
「麻酔は不要で、簡便にできます。」と説明して、施行しているクリニックがありますが、麻酔よりも痛い、1回では治らない。脱落しても根本が残る。炎症後の色素沈着を起こしやすい。等の欠点があります。
どうしてもと言う患者さん以外は、当院では行っていません。
ハサミで切除する方法と両方を施行した患者さんは、次回受診時には、ハサミで切除する方を希望されます。確実で、痛みが少ないからです。
飲み薬、塗り薬では治りません。ネット販売にひっかからないようにしましょう。
診察、治療は予約制ですのでご注意下さい。
治療費は
数と大きさにもよりますが、1回:約¥1,000~15,000位の自己負担です。
初診料、再診料、軟膏代が別にかかります。