形成外科 皮膚外科
手術せずに治したい人へ
・手術せずに治したい方へ
H9の新聞記事です。
皇太子様(現:徳仁天皇)も手術されています。手術で摘出するのが一番いい方法ということです。
飲み薬や塗り薬では治りません。
初診に適した科は皮膚科?
・初診に適した科は皮膚科??..時代が変わりつつあります。
科は関係ありません。開業医(クリニック)レベルでは表在性の超音波検査ができる医院で、皮下のしこりに理解ある先生がお勧めです。(全国にもそうたくさんはいないと思われますが)
当院で粉瘤と診断した患者さんで、他医で粉瘤と診断された患者さんは約3割でした。
7割の方は粉瘤以外の説明を受けていました。
・殆どの方(93%)が画像診断をされないで説明を受けていました。
☆診断がつかなければ、治療は始まりません。まずは的確な診断をして貰いましょう。
2018.7
手術は何科で受ければいいの?
手術は何科で受ければいいの?
・キズ跡のことを気にしなければ近くの外科、整形外科でもかまいません。皮膚科は手術していないクリニックが多くありますのであらかじめ確認して受診することを勧めします。無駄足になります。
・小さなしこり(φ2cm程度まで)は開業医(クリニック)レベルで十分対応できる大きさです。
受診したクリニックで手術してもいいでしょう。
紹介しますと言われたら形成外科専門医のいるクリニックを紹介して貰いましょう。美容外科はお勧めしません。
・特殊な部位やφ2cmを越えるしこりは一般病院や基幹病院への紹介でもいいでしょう。
紹介先は皮膚科か形成外科ですが、専門医のいる形成外科をお勧めします。
但し、顔のしこりは形成外科の方がいいでしょう。
・一般病院や基幹病院からの紹介以外では、大学病院には受診しない方がいいでしょう。
研修医、若手医師の研修の..になる可能性が大です。
2018.9
体の どこにできる?
「2016、7年に当院を受診した粉瘤(炎症性粉瘤含む)患者さん」の集計では
顔面29%、背部24%、臀部12%、頚部12%、腋窩6.5%、胸6.3%、頭、陰部、四肢の順でした。
顔、背中、お尻はできやすいと言えます。
顔はキズが残ることが心配で、お尻は恥ずかしいと思って受診が遅くなりがちなようです。
放っておいても自然に治ることはありませんので、早めの受診をお勧めします。
2018.7
いくつできる? 多発するの?
「2016、7年に当院を受診した粉瘤(炎症性粉瘤含む)患者さん」の集計では
粉瘤を2個以上持っている人は29%でした。..意外に多いようです
5個以上持っている人5%でした。
今は1つだけかもしれませんが、又できることもあります。
気がついたら早めの治療をお勧めします。
2018.7
初めて気がついてから当院受診までの期間は
「2016、7年に当院を受診した粉瘤(炎症性粉瘤含む)患者さん」の集計では
初めて気がついてから当院受診までの期間は
1年以内41.8%、
3年以上38.5%、
10年以上前から14.7%でした。
2018.7
炎症の既往は?
「2016、7年に当院を受診した粉瘤(炎症性粉瘤含む)患者さん」の集計では
・炎症の既往(赤くなったり、痛くなったこと)のある人は64%
その49%は2回以上の炎症の既往があり、
34%は3回以上繰り返しています。.
つまり一度炎症を起こすと、5割の確率で2度目の炎症を起こす。
そして、その7割の人は3回以上の炎症を繰り返し起こしているということです。
2018.7
医療機関への受診や相談歴したことのある人は?
「2016、7年に当院を受診した粉瘤(炎症性粉瘤含む)患者さん」の集計では
医療機関への受診や相談したことのある人が189名(49.5%)で、皮膚科が114名で6割を占めていました。
2018.7
他医を受診された患者さんが受けた説明内容は?
「2016、7年に当院を受診した粉瘤(炎症性粉瘤含む)患者さん」の集計では
他医を受診された患者さんが受けた説明内容は
粉瘤と診断されたのは32%、良性のしこり26%、脂肪のかたまり10%..等
小さいから気にしなくていい..21%、様子を見ましょう11%..等でした。
2018.7
他医を受診された患者さんが受けた画像検査は?
「2016、7年に当院を受診した粉瘤(炎症性粉瘤含む)患者さん」の集計では
他医を受診された患者さんが受けた画像検査は13名で7%でした。
このことは、93%のDrが画像検査もしないで診断しているということです。
他医で粉瘤と言われた方は約3割でした。画像検査無しでの診断は難しいと思われます。
そのため、「粉瘤、脂肪腫、良性、小さいから気にしなくていい」..等の適当な説明をしているということがわかりました。
手術をしないorできない先生が「様子をみましょう。」とか、「気にしなくていい。」といった説明をしているようです。
診断がつかなければ、治療は始まりません。まともな説明もできません。
手術を勧められても、粉瘤の状態がわからずに手術するということになります。
大きく切除するか、くり抜いて内容物をだけ出すかくらいの手術になります。
2018.7
皮膚の構造
皮膚は表皮、真皮、皮下脂肪の3層から出来ています。
原因
原因
毛穴の一部分の組織が皮膚の深いところで、袋状になったものが多い。この場合は、皮膚の表面に開口部を持つことが多く、「絞り出すと、白いあぶらの様なものが出ていたが、出なくなって、ふくれてきた。」と言う人がそうです。ケガなどで表皮の一部が皮下に入り込んで出来る場合もあります。
多発する場合は生まれつきの(先天性)体質によるものです。脇の下、お尻などに多発します。
2018.7
粉瘤、表皮嚢腫が癌化した報告
希なことですが、表皮嚢腫から癌化したという学会報告があります。
最近は、ほぼ毎年のように報告されていますので、決して希ではなくなってきています。
癌を心配される方は早めの手術をお勧めします。
年を取ると出てくる良性腫瘍の脂漏性角化症(別名:年寄りイボ)でも、癌になったという例もあります。
2018.9
粉瘤を疑われた5×5mmの皮下腫瘍が癌だったという報告です
一般的手術法
・一般的な手術方法です。当院では「b法」と言っています。
当院の治療法
当院では主に下図のc、d法で手術しています。この方法は超音波検査して粉瘤の状態を確かめなければできません。
d法は小切開摘出術のことです。小切開内容物一部圧出後摘出術はd法の変法です。
・「粉瘤だから、放っておいて大丈夫」とか、「悪いもので無いので、様子を見ましょう」と言われて放置していて、大きくなったり、感染を起こして、腫れあがってから受診される方がいます。
☆自然に治ることはないので、小さいうちに手術した方が、大きくなって手術するよりも、キズアトは小さく、術後の痛みも少なく、又、手術代金も安くてすみます。
化膿して、赤く腫れ上がる時は、抗生剤を飲んだり、切開して中の膿を出す必要があります。切開して中身だけを出しても、袋が残っているので、いずれ再発します。
- *:基本的には炎症や感染を起こしている(赤くなってきた、腫れ上がってきた、痛みがある)時には摘出手術はしていません。切開、排膿等の処置を行います。遠方の方は折角来てもらっても、無駄足になりますので、近くの医院(かかりつけ医、外科、整形、皮膚科等)で診てもらって、抗生剤、痛み止め等を処方して貰ってください。炎症が完全に引いて、3,4ヶ月待ってからの手術になります。
- *:陰部の粉瘤の方は、体位がとれる手術台がありませんので、総合病院に紹介することになることもありますので、ご了承ください。
- *:大きな粉瘤も総合病院に紹介することになることもありますので、ご了承ください。
- *:実際の手術例は部位別の粉瘤の項をご覧下さい。
2018.7
粉瘤の統計
2019、2018の粉瘤患者さんの統計の要約です
粉瘤 統計 2016,7年の2年間 要旨
2018.4.28-29 第34回 臨床皮膚科医会総会・臨床学術大会(仙台)で発表
2016、7年の2年間の当院受診の粉瘤の患者さんは
-
・総数 382名、 男性 183名(48%) 、女性 199名(52%) で女性が男性よりやや多い
- ・年齢は..20~40歳代が多い
- ・2個以上の粉瘤を持っている人..29%
- ・気がついてから3年以上経っている人:38%、10年以上:15%
- ・炎症や化膿したことがある人..64%、うち34%は3回以上
-
・病院や医師に受診or相談したことのある人..約50%、うち6割が皮膚科
- ・画像検査を受けた人..7%
- ・粉瘤と診断されたのは..32%
- ・約3割強が経過観察(様子を見ましょう)等の説明を受けている 等
-
・当院を受診した理由として
- ・病名を知りたい..23%
- ・癌が心配..7%
- ・手術でもいいから治したい..58%
- ・キズ跡は少しでも綺麗な方がいい ..35% 等
- ・他医の説明と患者さんの聞きたいこととに、違いがある可能性が示唆されました